再生される肌理 -digital images of contemporary art-


一昨年亡くなったビデオアートの始祖ナムジュン・パイクは、初期の活動において「コラージュ技法が油絵具にとってかわったように、ブラウン管がキャンバスにとってかわるだろう。」と述べています。映像表示技術が飛躍的に進歩している現在、改めてこの言説について考察するべきではないでしょうか。もはやディスプレイは一画素単位でイメージをコントロールできる支持体と言えるのかもしれません。本展覧会「再生される肌理 -digital images of contemporary art-」では、このような時代を見据えた美術作品の展示を行います。出品作家は、写真、実写映像、絵画、アニメーションといった諸領域を溶解させるような、新たな表現を発見しています。


<出品作品について>

五十嵐友子「Time-Layer Photography」は動画映像から生成される写真作品です。この「かつて映像だった写真」は、持続する時間から多様な動きや速度を捉えます。高尾俊介「Processing Photography」は鑑賞形態を含めたパッケージ型の写真作品であり、まばたきと写真表示との関係に着目しています。携帯電話のディスプレイで鑑賞する山本信幸「微動画」は今日的なドローイング表現であり、舞台公演の記録を一つの画面の中に再構成した、REM SKETCHによる「『魂戯れ』の記憶の記録」は、動く曼荼羅絵図のような印象を与えます。その他にYCAMを初め各地の展覧会で好評を得ている萩原健一、"ARS ELECTRONICA“での受賞をはじめ、国内外での多数の上映経験を持つ早川貴泰、東海を中心に活動する極楽ブラザーズは、それぞれのアプローチによる映像インスタレーションを展示します。またHDフォーマットによる映像作品の上映も行われます。このムービープログラムには、本展覧会の監修を務める前田真二郎などが参加します。

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<出展作家プロフィール>

早川貴泰 HAYAKAWA Takahiro
1979年生まれ 高精細映像におけるアニメーション表現の可能性を模索。代表作に「可畏キモノ」「ユナイテッド・シネマ サウンドロゴ映像」など。"ARS ELECTRONICA 2005" Honorary Mentionsをはじめ、国内外での受賞・上映・コラボレーションなど多数。

萩原健一 HAGIHARA Kenichi
1978年生まれ 写真表現をベースに映像メディアを用いて作品を制作。"ArchBIMIng"メンバーとしてArs Electronica2004、京都ARTZONE、東京ワンダーサイトなどで発表。「sight seeing spot」がAAT2007特別賞 文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品選出。

五十嵐友子 IGARASHI Tomoko
1982年生まれ 映像メディアの特性を浮かび上がらせる表現を模索。ネガフィルムをモチーフとした映像作品「Fog, off the ground」を、メディアエクスプローラー展(SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ)、up-and-coming国際フィルムフェスティバル(ドイツ ハノーヴァー)にて発表。

高尾俊介 TAKAWO Shunsuke
1981年生まれ デジタル写真の新しい在り方について時間軸表現としての映像メディアや鑑賞行為に着目し作品を発表。代表作として「Crawl 02」(Up and Coming Int. Film Festival Hannover)。

山本信幸 YAMAMOTO Nobuyuki
1980年生まれ ドローイング表現を主軸とする作品を展開。近年は携帯電話によるミニアチュール「微動画」やiPodを用いたビデオインスタレーション「Lifecollage」を制作。主な展覧会に「いまからだ」(スパイラルガーデン)、「eARTh quake S波」(金沢21世紀美術館)など。

前田真二郎 MAEDA Shinjiro
1969年生まれ 90年代よりビデオメディアによる映像作品を国内外で発表。代表作に「オン」「日々"hibi" 13 full moons」などがある。2005年よりDVDレーベル "SOL CHORD" のスーパーバイザー。情報科学芸術大学院大学(IAMAS) 准教授。 

極楽ブラザーズ Gokuraku Brothers
美術家 小笠原則彰、造形作家 白前晋、映像作家 齋藤正和からなるアーティストユニット。2001年より活動を開始し、映像・音・空間等なんでもありの手法で作品を制作。
「楽土の求め方」(大垣ビエンナーレ2004)、「サークルK」(Fifth Element展)など。

REM SKETCH
新たな映像記録のあり方を探求する映像製作チーム。2002年より京都造形芸術大学・舞台芸術研究センター主催の上演実験シリーズの映像記録を担当。国際ダンス映像祭(2006)にて審査員特別賞。平成18年度文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出。

展示風景再生される肌理 -digital images of contemporary art- - 展示風景はこちらよりご覧頂けます。